テレビアニメは川下のメディアである。

 4月9日よりフジテレビ「ノイタミナ」にて放送開始したアニメ「東のエデン」が、平均視聴率4.8%、瞬間最高視聴率5.7%と同時間帯の中で視聴率1位を獲得した。本作は「ノイタミナ」初の完全オリジナル作品ながら、「のだめカンタービレ」、「もやしもん」といった原作人気の高いアニメ作品に並ぶ数字であり、注目度の高さが表れた結果となった。

というのは、井汲さんに「いまのアニメの原作準拠が過半いうのは、産業にとって害悪じゃないか?」(←というような意見でしたよね?、興味がある人はこの項目に全文引用があるのでどうぞ))というのが、咀嚼できずにずっと胸にあるからなんですよね。昨日久々に余裕があったので、夜中に、録画しておいた(←今の時代ってこういうことができるからいいよなーHDD万歳)『グインサーガ』『花咲ける青少年』『ファントム』『東のエデン』を見たんです。

それでね、もう圧倒的に、『東のエデン』が面白いの。その他のは、、、『ファントム』はまだ分からないんだけれども、なんかねーやっぱり「それなり」なの。いや、そもそも原作が面白いし、水準を超えて丁寧に制作されているので、決してマイナスの印象は持つほどでもなかったんですが、『東のエデン』のオリジナル作品の持つメガトン級のエネルギーを見せられちゃうと、ああ、、、そうかーこんなにも違うのかなぁ、って思ってしまったんですよね。何が違うか、というのは何となく言葉がもやもやして出てこないんですが、もう全く違うんですよね。

 あうあう。『東のエデン』、超見たいです。

 最近、アニメ、というかフィクション全般に対する欲望が消えかけていて、小説なんてもう全く読んでいないのだけれど、これだけは別! 何しろ『攻殻機動隊』『精霊の守り人』の神山監督だぜ、おもしろいに決まっている。

 一応、新潟でも放送されるんだけれど、2週間くらい遅れるんだよなあ。リアルタイムでの情報のやり取りに参加できないことが無念で仕方ありません。これだから地方局は。ぶつぶつ。

 いや、違った。愚痴を書きたいわけじゃないんだった。今回の問題提起は「原作付きアニメの功罪」。

 皆さんご存知の通り、いま放送されているアニメの過半は原作付きです。つまり、小説なり漫画なりゲームなりの作品を映像に移し変えて製作する、というスタイルが採られている。はたしてそれは良いことなのかどうか?

 結論からいうと、「メリットは大きい。しかし、限界もある」という見方が正しいと思う。

 あるヒットコンテンツがメディアミックスされ、無数のメディアで利用される――日本でもアメリカでも良く見かける光景です。

 評論家の中野晴行はこの構造を「ワンコンテンツ・マルチユース」と呼びます。ひとつのコンテンツでいくつもの作品を生み出せるわけですから、ワンコンテンツ・マルチユースには、あきらかなメリットがあります。

 しかし、ぼくにいわせれば、欠点もある。それは、「そのメディアに特化されていない作品を生み出してしまう」ということ。

 つまり、小説家でも漫画家でも、原作を書いたひとはアニメ化したときのことなんて考えていないに決まっている。だから、原作には、必ずしもアニメに向いていない箇所がある、という、あたりまえといえばあたりまえの事実です。

 中野は『まんが王国の興亡』でワンコンテンツ・マルチユースの流れを河にたとえ、漫画はその河口にあたる、と説きました。

 つまり、漫画はアニメに、ゲームに、ノベライズにと利用されるコンテンツの発信源であり、これが衰えることはその他のメディアが衰えることにも繋がるのだ、ということ。

 この言説を採用するなら、アニメはおおむね漫画より「川下」の文化ということになります。この状況には、あきらかな問題点もある、とぼくは思う。多くの物語がアニメに特化して作られていないということですね。

 ま、ぶちまけていうと、原作付きアニメって、たいてい原作のほうがおもしろいじゃないですか。先日取り上げた『グイン・サーガ』が良い例で、たしかにそれなりにおもしろい。良くできている。しかし、それ以上ではない。

 それも当然の話で、原作は「小説として」おもしろいようにシナリオが組まれているわけですから、アニメはなかなか奇跡の大傑作!にはなりにくいわけです。

 もちろん、『ハルヒ』みたいに、物語の順番をいれかえて遊ぶとか、そういう冒険の余地はある。神山監督の『精霊の守り人』のように、オリジナル描写を組み込んで原作とは別物に仕上げるという手もある。

 また、アニメーションそのものの魅力は原作付きであろうと変わらない、ということもいえる。しかし、やはり原作の制約は大きい。

 そして、いつまでも「川下」のメディアでいていいのか? アニメに特化したコンテンツをどんどん生み出していくべきではないのか? そうも思うわけです。

 もちろん、いろいろとそれがむずかしい理由はあるのでしょう。しかし、ぼくは一アニメファンとして、もっとアニメオリジナルの作品を見たい、と思う。

 『東のエデン』がその烽火となれば嬉しいのですが。